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景気判断 2地域引き上げ  日銀 北海道と中国、災害影響薄まる   

2019年01月10日

 日本銀行は10日、1月の地域経済報告(さくらリポート)を公表し、自然災害の悪影響が薄まったとして北海道と中国地方の景気判断を上方修正した。2地域で判断を引き上げるのは昨年4月以来9カ月ぶり。残り7地域は据え置いたが、企業からは米中貿易摩擦による受注の下振れを指摘する声が増えている。

 昨年9月に最大震度7の地震に見舞われた北海道では「国内客が着実に回復」(宿泊)など、前向きの声が出た。旅行客の宿泊費を国が補助する「北海道ふっこう割」の効果を指摘する企業もあり、前回「悪化している」とした観光についても判断を引き上げた。

 「生産の効率化を企図し大型投資に踏み切った」(東海の自動車関連)など、設備投資の旺盛さも示された。昨年月の企業短期経済観測調査(短観)で全規模全産業の今年度の設備投資計画が前年度比10.4%増と、12月調査として2006年度以降で最高の伸びだったことが裏付けられた。

 一方、貿易摩擦を受け「秋以降は受注が急速に減少している」(北陸の生産用機械)といった声も複数上がったが、日銀は「影響は今のところ限定的」(山田泰弘大阪支店長)としている。

 日本銀行が10日発表したさくらリポートでは、米中貿易摩擦の長期化を受け各地の企業から景気の先行きを懸念する声が相次いだ。米IT大手アップルが中国での販売不振で業績予想を下方修正した「アップルショック」など、これまで不安材料にとどまっていた貿易摩擦の影響が実体経済に波及し始めており、企業マインドがさらに冷え込めば好調な設備投資などにも下押し圧力が強まる可能性がある。

 「中国向け電子部品は強気の発注が影を潜めた。貿易摩擦による不透明感の強まりが影響している」(秋田、電子部品・デバイス)

 足元の堅実な業績とは裏腹に忍び寄る景気後退の足音におびえる企業は多い。日銀の黒田東彦総裁はこの日の支店長会議で「(国内景気の)先行きは緩やかな拡大を続けると考えられる」と強調したが、額面通り受け取る向きは少ない。

 懸念されるのは海外経済の影響だ。年明けの株式市場を揺るがしたアップルの不振は国内部品メーカーにも打撃を与えており、日本工作機械工業会は2019年の年間受注額が中国の景気失速で前年比約12%減になるとの見通しを示した。

 米中摩擦で世界の貿易取引は停滞が避けられない。世界銀行は8日発表の経済見通しで、今年の世界貿易の伸び率を前年比3.6%とし、昨年6月の予測値から0.6ポイント下方修正した。

 3月までの貿易協議が決裂すれば米国の対中追加関税が10%から25%に上がり対立は悪化するため、「貿易摩擦が激しさを増せば一段の需要減少につながる可能性もある」(前橋、生産用機械)と悲鳴が上がる。

 中国向け受注の減少を踏まえて、「予定していた能力増強投資を当面延期することにした」(松江、電気機械)との声もあり、企業のコスト削減が景気減速につながる恐れが出てきた。

 市場関係者の間では既に米連邦準備制度理事会(FRB)が景気刺激のため年内に利下げを迫られる可能性が織り込まれている。長期金利をゼロ%程度に保つ日本との金利差が縮小する事態になれば、円を買ってドルを売る動きが強まり円高が進みそうだ。戦後最長と並んだ景気拡大局面は重大な岐路に差し掛かった。