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超小型EV普及、鍵はサービス 高齢者や施設巡回用などシェアリングに重点

2019年07月18日

 1~2人乗りで手軽に移動できる「超小型電気自動車(EV)」への注目が高まっている。車両の電動化やIT化の進展で「モビリティ(移動)」の概念が変わりゆくなか、相次ぐ高齢ドライバー事故もあり、既存の車に代わる移動体が必要とされてきたためだ。最終地点への超短距離移動「ラストワンマイル」を担う手段として、トヨタ自動車が来年からの発売を表明し、自動車メーカー以外も開発を本格化。だが、10年ほど前から存在しながら広まっていない経緯もあり、普及には法整備や、シェアリングなどのサービス展開が鍵となりそうだ。

 j◎「安全、安心な移動」

 「高齢者、免許を返納された方、車いすを使う方々まで、一人一人のライフステージに合わせた安全、安心な移動を提供する」
  6月7日。トヨタの電動車事業説明会で寺師茂樹副社長は、来年から発売する超小型EVの重要性を強調した。

 「超小型」は軽自動車より小さなサイズを意味し、1~2人の移動をサポートする。四輪だけでなく、三輪や車いす型などのタイプもあるのが特徴だ。国土交通省による調査では、自動車利用者のうち距離10キロ以内が約7割、2人以下の乗車が8~9割を占めている。このため、トヨタは超小型EVについて、少人数の超短距離移動に特化する戦略だ。来年発売の電動三輪バイク「i-ROAD(アイロード)」は前輪が二輪で、転倒しにくい。最高時速60キロで屋根とドアもあり、原付自転車並みのサイズとクルマ並みの快適性・安全性を目指したという。一般家庭用の100ボルトで充電可能で、約50キロ走行できる。普通自動車免許が必要だ。

 空港警備などで実証実験中の立ち乗り型は、「全長は人の歩幅以下、全幅は人の肩幅以下」というサイズ。「セグウェイ」などの二輪型とは異なり、ハンドルで操作する三輪で、床をできるだけ低くして安定性も高い。最高時速10キロで、約14キロ走行が可能。センサーで障害物などを警告し、自動回避できる安全機能もある。

 東京で五輪・パラリンピックが開催されるなか、足が不自由な人をはじめ誰でも乗れる車いすタイプも再来年の発売を目指す。三輪車型に加え、既存の手動車いすに着脱して「電動化」できる連結型も開発中だ。

 日産自動車は、原付サイズで2人乗りの四輪EV「日産ニューモビリティコンセプト」を、横浜でのカーシェアリングなどで実証実験中だ。

 ホンダが「チェア型」として開発する、車いすをさらに簡略化したような「3E-B18」もラストワンマイルの移動支援となる。スズキが1985年から販売する電動車いす「セニアカー」は草分け的存在だ。

 自動車業界以外でもパナソニックが商品化を目指し、その基礎としてモーターや充電器などを一体化した、どの車両形態にも利用可能な電動プラットフォームを開発済みだ。機能性やデザイン性を高めた車いす型を販売するベンチャーも出ている。

 ◎購入補助金も検討

 超小型EVは速度が最高60キロ程度で、急発進が抑制しやすい。経済産業省は高齢運転者事故多発を受け今月3日、約20車種の試乗会を都内で開催。購入補助金も検討している。

 超小型の移動手段の検討自体は10年近く前から行われている。国土交通省は、車道用の2人乗り以下を「超小型モビリティ」と定義づけて2010~11年度に全国で実証実験を実施。13年には道路運送車両法に基づく認定制度が整えられた。

 しかし、同省によると、超小型モビリティの累計生産はまだ約8500台(17年11月時点)。安全基準を自動車より緩和していることを理由に地方自治体を通じた申請や車検、毎年の運行報告も課すなど、手続きが面倒な点も普及を妨げている。

 また、歩道での使用が前提の1人乗りは、電動車いすが「歩行補助車等」と明確化された一方、立ち乗り型などの「搭乗型移動支援ロボット」は実証実験の範囲でしか認められていない。政府内の法令の所管の違いもあり、車道と歩道の横断的利用を想定した制度はない。政府は自動運転の基盤作りで「新しい車両区分ルールの検討が必要」とし、まずは配送分野での無人機の観点から検討が始まったが、めどは立っていない。個人利用が限られるなか、トヨタは「まずはレンタルや大規模施設巡回などシェアリングや事業利用を進める」とサービスに重点を置いた展開を目指し、五輪を機に東京などでの観光利用も想定する。

 最近では、IT技術による遠隔管理の実現でカーシェアリング事業が一般化したのに加え、タクシーやバス、鉄道など多様な手段をITでつなげて一体運用する次世代移動サービス「MaaS(マース)」の考え方も広まっている。国や事業者は機体開発に加え、誰もが使いやすいサービス基盤の構築が求められている。

写真えとき=最高時速60キロの「超小型電気自動車(EV)」は高齢者の車からの代替も期待される